筋トレをして、筋肉で体型を変えようとしているのであれば、筋肉の元となるタンパク質が重要です。
そのため、アスリートなどはプロテインなどを使って、タンパク質を多く摂取するようにしています。
しかし、タンパク質だけ大量に摂取しても、筋肉を効率よく大きくすることはできません。
タンパク質とともに重要になるのが、糖質です。
バルクアップにはオーバーカロリーが必要
NHKのガッテンで筋肉UP術を放送していました。
たんぱく質は筋肉の材料になる物質として知られていますが、なぜ糖質と一緒にとると良いのでしょうか?その秘密は糖質が体内に入ると分泌されるホルモン「インスリン」にあります。
インスリンには体内に入ってきた「糖」を体の様々な細胞に入れる働きがあります。
運動直後に糖質と一緒にたんぱく質をとると、糖質に反応して分泌された「インスリン」が筋肉に糖分が入りやすい状態にしてくれます。この時「糖」と一緒に大量のたんぱく質も筋肉の中に入っていくのです。
インスリンが放出されなくても、糖質カットしたときにできるエネルギー源のケトン体を、筋肉に送り込むことはできます。
そのため
- 糖質カットをしても、バルクアップさせることは可能
だとは言えます。
しかし、
- バルクアップに必要なオーバーカロリーの状態を、糖質カットの食事で確保するのは難しい
と言えます。
食べにくい大量の脂質を摂取する必要があるからです。
それができるのであれば、糖質カットの食事でも筋肥大をすることができますが、それを続けるのは困難なことと言えます。
筋肥大のバルクアップを目指すのであれば、炭水化物を上手に摂取するほうが簡単ですし、摂取するタイミングを上手にすることで、脂肪もつきにくくなります。
バルクアップに必要な筋肉細胞にタンパク質を取り入れるには?
摂取したタンパク質を、効率よく筋肉の細胞に取り入れるには、インスリンが必要です。
そのインスリンを分泌させるには、炭水化物を摂取して、血糖値を上げ必要があります。
そのため、ボディビルダーなどは、プロテインを摂取する時に、オレンジジュースなどでプロテインを溶かして飲みます。
また、筋肉を大きくするバルクアップ期などは、炭水化物やビタミン類を多く含んだプロテインのMRPミールリプレイスメントなどを摂取します。
炭水化物は今、嫌われ者になっている傾向にありますが、筋肉を大きくするには重要な栄養素です。
また、筋肉だけでなく、健康にも炭水化物は重要で、炭水化物を完全カットするようなダイエットは、寿命を短くしてしまうという研究結果も出ています。
バルクアップで炭水化物が必要なタイミング
最近、嫌われ者となっている炭水化物ですが、やはり、筋肉をつけるためには重要な栄養素となります。
必要なときに炭水化物を摂取して血糖値を上げて、筋肉に栄養を送り込む必要があるからです。
では、必要なときというのは、いつなのか?
それは、
- 運動中から運動後3時間以内
です。
糖質を摂取しても体脂肪が増えにくいタイミング
トレーニング直後というのは、成長ホルモンが分泌され、筋肉が作られやすい時です。
十分な量の栄養物質を、筋肉細胞に送り届けることです。
また、このタイミングには、嬉しいメリットもあります。
それは、栄養が脂肪細胞ではなく筋肉に働くため、大量のカロリー、糖質、タンパク質などを摂取しても体脂肪が増えにくいからです。
筋肉中のグリコーゲンも減っていて、炭水化物を摂取しても、そちらの回復に使われます。
トレーニングが終わって数十分すれば、体の隅々までに流れていた血液が胃腸に戻ってきます。
そのタイミングで
- 糖質とプロテイン
を飲みます。
私の場合は、オレンジジュースなどに、プロテインを入れて飲んでいます。
もちろん、食事ができるような環境でしたら、炭水化物とタンパク質も摂取できる食事で、栄養を取り込んだほうがいいです。
バルクアップに炭水化物は必要な栄養素
これはトレーニング直後で、栄養が脂肪細胞にいきにくいので行っていることです。
何もしていないときに、大量の炭水化物を摂取して、脂肪細胞に栄養がいかないように気をつけないといけません。
炭水化物は重要な栄養素ですが、摂取するタイミングによって、
- 筋肉を増やす
- 脂肪を増やす
のどちらかになりますね。
糖質を極端にカットするダイエットは死亡率が高まります
ダイエットで炭水化物を極端にカットすると、死亡率が高まります。
炭水化物をカットした食事のローカーボダイエットが流行っています。
このローカーボダイエットは、2003年頃アメリカで流行ったダイエット方法で、アトキンス博士が考えだした手法です。
そのため、アトキンス式ダイエットと呼ばれていましたが、炭水化物をカットするためローカーボダイエットと呼ばれたり、体内のケトン体が異常に増えるため、ケトジェニックダイエットと呼ばれたりしています。
テレビのCMでもご存知のように、炭水化物をカットすると、ダイエットは成功するでしょう。
しかし、それによって健康を害する実験による論文もでています。
ローカーボ食を推奨している日本ローカーボ食研究会
ローカーボ食を推奨している日本ローカーボ食研究会という会がああります。
その日本ローカーボ食研究会がサイトで公表しています。
ローカーボ食とハイカーボ食の13万人、20-26年間の大規模・長期観察コホート研究です。観察期間中に12,555人もの死亡数に達し、死亡原因を解析するのに十分なパワーがあります。この研究の特徴は動物性脂肪・蛋白質と植物性脂肪・蛋白質摂取を解析したこと、脳心血管死亡数だけではなく癌死も追跡・解析していることです。
12555人を対象に行なっているので、十分に信頼できる数でしょう。
こういう研究で信頼出来ないのは、数が少ないことです。
大数の法則というのを聞いたことがあると思いますが、確率でも、回数が少ないうちは、ブレが大きくなります。
しかし、回数を重ねて十分な数になると、実際の期待値に近づいていきます。
12555人というのは、十分なエビデンスとなるでしょう。
この研究では炭水化物・糖質制限をローカーボ指数によって1-10群に分類、ハイカーボ食は1、最も厳しい制限は10で、1→10に向かって連続的にハザードリスク(年齢、総摂取エネルギー調整)が増加あるいは減少しているのが重要です。 総死亡数でみると、男性では10群ではハイカーボ食群(1群)に比べて死亡数は有意に増加(Hazard risk:HR=1.33)、女性(HR=1.19)では有意差はありませんでした(図)。つまり、ローカーボ食を厳しくすればするほど死亡率は上昇することが明らかとなりました。ローカーボスコアの1はハイカーボ食、10は35-37%炭水化物制限です。ローカーボスコア10は灰本クリニックの食事調査に照らし合わせると、1.5-2食制限に該当します。
正しい知識のもとにダイエットを行いましょう
しっかりとした研究や証拠のもとに、ダイエットをすると、健康的にダイエットすることはできるでしょう。
このローカーボ食によるダイエットも、しっかりとした知識を持って実行すれば、健康に寄与することは間違いないと思います。
しかし、間違ったやり方や、知識のもとに行えば、健康を害し、寿命を縮めてしまう結果となります。
日本ローカーボ食研究会では、このようなことも書いています。
民間療法への警鐘
ローカーボ(糖質制限、低炭水化物)食を実行している患者では3食制限が横行しています。これは民間療法というべきで、科学的な有効性や安全性を考慮するとむしろ逆に死亡数を増やす可能性もあります。灰本クリニックでは、HbA1c>12%以上では短期間に3食制限をすることがありますが、HbA1c<11%以下では2食制限でHbA1c7.2%まで下がることが科学的証明されています(リンク)。ですから、3食制限はきわめて少数の患者、それも短期間に限定しています。はじめに記載したように、ローカーボ食は発展途上の治療方法です。こまかな弱点や利点はいろいろあって、欧米では議論が沸騰しています。しかし、その混乱のなかでハーバード大学による患者の詳細な食事調査に基づく、総死亡数をoutcomeに据えた大規模・長期観察研究は、おおむね間違っていない方向を示してくれており、私たちの道標となるでしょう。
コツコツ一つずつ科学的に安全性と有効性を証明するために臨床研究を積み重ねていく行き方が、患者へ誠実なローカーボ食を届けることになるのです。私たち医療関係者はそのような心構えが必要です。科学的根拠がない民間療法への対応は慎重でありましょう。
流行に流されず、バランスの良い食事をとって、運動をするという王道で健康維持とダイエットを行っていきましょう。
筋肉の健康効果
ためしてガッテンでは、筋肉の健康効果も放送されていました。
筋肉から生まれる「グルタミン」という物質は、人間の免疫力の源である「リンパ球」を増やす事が分りました。これによって人間の免疫力が高まり、がん細胞をやっつけたり様々な病気になりにくくなると考えられています。
また、筋肉は大量の熱を生むため、身体を温め冷え性予防の効果を生んだり筋肉が蓄えた大量の水分のおかげで熱中症になりにくくなると考えられています。
さらに最新の学説では、筋肉が生み出すホルモンが「認知症」や「糖尿病」などを予防する効果があるのではないかと研究が進んでいます。
短時間で限界を迎えるトレーニングで筋肉は大きくなる
筋肉は、短時間で限界を迎えるようなトレーニングをすることで大きくなります。
有酸素運動では、短時間で限界を迎えるような運動ではありませんので、筋肉は大きくなりません。
筋トレには様々な方法がありますが、今回お伝えするのは 「1日3分程度」という短時間で効率よく筋肉を増やす方法です。
筋肉を増やすためには、筋肉に様々な負荷(ストレス)を加える必要があります。
筋肉を増やすのに一番効率がいいと考えられている負荷の強さは「10回ギリギリできるくらいのキツイ運動」をすることだと考えられています。
この強さは「短時間で筋肉を疲れ果てた状態にする」ので、筋肉はより大きく増えようとしてくれるのです。
ウエイトトレーニングの目的は?
筋肉を大きくするのに、重いウエイトは必要ありません。
ウエイトトレーニングの目的が
- 重いウエイトをどれだけ持ち上げられるか?
という競技をしているのであれば、重いウエイトをうまく持ち上げる練習をしないといけません。
しかし、目的が
- 筋肉を発達させたい
のであれば、軽い重量で、筋肉に負荷をかけることで筋肉を発達させることができます。
人は、重いものを持ち上げるときには、筋肉に掛かる負荷を分散させ、丈夫な関節を使って、大きな筋肉を使って楽に持ち上げようとします。
そのため、鍛えたい筋肉に負荷がかからず、大きな筋肉に少しの刺激が入るだけで、筋肉が発達しません。
また、関節には大きな負担がかかり、ケガの原因にもなります。
正確なフォームでトレーニングができる重量で、筋肉に負荷をかけたまま動かすことが大切です。
見た目は軽くても高負荷のトレーニング
筋肉は、負荷がかかると休むために負荷を逃がそうとしますが、それをできるだけさせないようにします。
その状態で、筋肉をできるだけ収縮させたり、伸展させたりすることを繰り返すことで、しっかりと刺激が入るようになります。
軽い重量と言いましたが、実際、筋肉にはかなりの負荷がかかるようになり、筋肉にとっては見た目以上の高重量となります。
このようなトレーニングをすると、怪我をするリスクがかなり低くなります。
ウエイトトレーニングで多いケガは、
- 関節に大きな負荷がかかること
- 筋肉を必要以上に伸展させること
でおこります。
筋肉だけに負荷をかける場合は、軽い重量でできます。
関節に大きな負荷がかかることもなく、ウエイトもコントロールできます。
筋肉が伸びすぎて断裂することもありません。
この怪我をしないことがウエイトトレーニングでは一番大切です。
軽いウエイトでトレーニングするメリット
軽いウエイトでトレーニングできますので、自宅でトレーニングすることができます。
大掛かりな設備が必要ありませんので、ジムに行く必要もなければ、ベンチと軽いダンベルとバーベルがあればできますので、お金もかかりません。
もし、トレーニング中に潰れてしまっても、重量が軽いので、ケガをすることもないでしょう。
もちろん、トレーニングジムのように補助者がいれば、限界まで追い込むトレーニングがし易いのはありますが・・・。
しかし、そこまでしなくても、筋肉に負荷をかけることができるようになれば、筋肉はしっかりと発達します。
自宅でも様々なテクニックを使うことで、筋肉をしっかりと追い込むことができます。
使えない筋肉
軽い重量でトレーニングしていると、それは、スポーツに使えない筋肉なのではないか?
見せるだけの筋肉になってしまうのではないか?
と思うかもしれません。
- 筋力は筋肉の断面積に比例する
といわれています。
つまりお大きな筋肉は、大きな筋力を持っています。
あとは、その筋力を上手に使えるように、スポーツなどの日々の練習をしていくことで、その筋力が活かされるようになります。
よく、
- ボディビルダーは見せるだけの筋肉で力はない
といわれますが、そんなことはありません。
力も当然強く、心肺機能も高い人が多いです。
ただ、ボディビルという競技が、走ったり、跳んだり、投げたり、蹴ったりするような競技ではありません。
他のスポーツでは使わないようなところの筋肉も発達させる必要があるために、そのようにいわれるだけでしょう。
もし、あれだけの筋肉と心肺機能と精神力を持っている人が、何かのスポーツに打ち込めば、間違いなく、そこら辺の人より上達も速いでしょう。
正しいフォームで筋肉に負荷がかけ続けられる重量で、安全に筋肉を発達させていきたいですね。
筋肉を増やすにはトレーニングよりも栄養が重要
筋肉を大きくするには、トレーニングがフォーカスされがちですが、それ以上に重要なのが、栄養摂取や休息です。
トレーニングで筋肉にいい刺激が与えられても、大きくするための材料がなければ大きくなりません。
また、材料のタンパク質が多くあっても、それを適切な場所の筋肉細胞に取り込まなければ、筋肉の成長は遅くなってしまいます。
タンパク質を細胞に取り入れるためにはインスリンが必要で、インスリンを分泌させるためには、炭水化物が必要です。
変なうわさ話などを信じて、トレーニングの努力を無駄にしないようにしましょう。